第3話 《from ラブイズ》3

私の生き甲斐は仕事だ。仕事がこの家族を支えている。
妻もそれをわかっているはずだ。

今はそれが家族を幸せにする唯一の方法だと信じている。

朝7時すぎから夜中0時頃まで。

たまの休みも仕事へ赴き、文字通り休む暇無く働いている。

働いている自分が家族を支えているという自信になり、自分を支えているアイデンティティーになっていた。

それが功を奏してか同期の中では一早く管理職となった。

一生懸命仕事をして家族を支えていた。

妻もそれを知っていたから何も言わなかったはずだ。

だからこそ今回仕事中に連絡が入ったことが驚きだった。

アパートに着くと娘が泣きながら出迎えてくれた。

妻のキキョウは余程辛かったのか、パジャマのまま床に突っ伏していた。
「…ごめんなさい…」
と妻は言った。
私は「気にしなくていいよ」と言い、妻をベッドに運び、娘にご飯を食べさせてから、近所の病院へ連れて行った。

「ちょっと体調悪いのかも知れませんね。2、3日様子をみて、具合が悪いようだったらまた来て下さい」

―ほっとした。

ひょっとしたらキキョウも疲れが溜まっていたのかも知れないと思い、会社に連絡をして3日間の有休をもらった。

なんていい夫なんだ!

家事育児を献身的にこなし、妻をゆっくり休ませてやった。

しかし3日目になっても、キキョウの体調は治らない。

「ああ、じゃあ点滴でもしていきましょうか。ちょっと長引いてますね。お大事に」
と医師は言う。

何やら簡単な処置に違和感を感じたので、別の内科に連れて行った。

早く治してもらわないと、私の仕事は溜まる一方なのだ。

イライラが募る。

「ひょっとしたら体内で炎症を起こしているのかも知れないですね」

!!

そうか!

キキョウは19才の時から子宮内膜症を患っていたそうだ。

「今日はもう疲れたから」と嫌がるキキョウを説得してすぐに近くの婦人科に連れて行った。

休みは今日までしかないんだ。
明日までには治ってもらわないと困る。
せめて原因がわからないと上司に報告のしようがない!

仕事は家族を支える唯一の方法であり、私もスムーズに仕事に戻らないと皆に迷惑が掛かるのだ。

キキョウもそれを知っているから私のいうことに理解を示しているはずだ。

婦人科では何やら様々な検査が行われた。

キキョウの身体に負担が掛かるかも知れないが、まずは原因がわからないと対処が出来ないから仕方ない。

一通り検査が終わった後、キキョウはぐったりしていた。

病院でずっとむずがっていた娘のアイハが、妻の検査が終わった途端に抱っこをせがむ、妻はゆっくりとアイハを抱き寄せた。

アイハも母親の不調を察していたのだろう。なんだか落ち着かない様子だ。

キキョウがアイハを抱いていると落ち着いて寝てしまったようだ。

母親の胸の方が落ち着くはずだ。

私は妻を気遣いながらもアイハを預け、早く検査の結果を待った。

from ラブイズ

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