第13話 《from ラブイズ》13

そんなある日、ふとした事でまたキキョウが不安定になった。

「アァー…!今すぐショーンの家に連れて行って!!」

「どうしたんだ突然!?」

時刻は夜21:30を過ぎている。

ショーンとは病院で知り合った20歳の精神病の男で私も顔を合わせた事があった。近くでアパートを借りて一人暮らしをしている。

「…不安なの…!話がしたいから…!行ってもいい!?」

「…もう夜だし、話なら私が聞いてあげるよ」

「あなたじゃだめなの!あなたじゃわかってくれないっ!同じ病気の人じゃないとわからないから!!」

「なんで?私じゃだめなのか!?」

「ウワァァアアァァアア!怖いの!!あなたじゃわかってくれないでしょうっ!!ウワァァアアァァアア!」

「…わかったよ…」

車を10分程走らせてその男の部屋に着いた。

「2時間したら電話するから迎えに来て」

「…あぁ、わかった…」

……………………………

キキョウと別れて帰る途中、涙が止まらなかった。

自分の妻を、
精神病の若い男の部屋に送る。

浮気とかそういうものじゃないのはわかる。

何よりも、

自分よりもそんな病気の若造に会いたいと本気で言われた事が

辛かった。

家に着いても泣いていた。
泣いて
泣いて
辛くて
辛くて

そうしたらアイハと一緒に寝てるはずの母親が起きてきて
泣きながら私を抱き締めてくれた。

「ラブイズも辛いわね」と言って抱き締めてくれた。

泣いた。
子供の頃のように泣いた。

25歳の一端の父親が

子供のように泣いた。

物心がついてから

生まれて初めて

母親の胸で泣いた。

from ラブイズ

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