第19話 《from ラブイズ》19

今までキキョウの病気は一時的で治るものだと思っていた。

『精神病』というものは『心が弱い人間がなるもの』だという認識だった。
だから、薬を飲んで時間が経過すればある程度までは良くなるものだと思っていた。

ようは治療に関して、病院に任せっきり状態だった。
しかしもうそんな事は言っていられない。
私は妻と真正面から向き合って、一生一緒にいると決めたのである。
しかし、キキョウとだけ生活していく訳にはいかない。
私にはアイハもいる。

もちろんこの子の人生も妻と同じように大切だ。
そして母親の人生もある。
仕事だってしなければならない。
綺麗事ばかり言っても、私の母親も妻の父親だって生活費を出してくれるはずも、金もない。

どうしよう…

……

………

……………

…………………

…………………………
…正直その中で、母親の人生を巻き添えにした。
一人で全てを見るのは、自分には恥ずかしながら許容範囲が足りなかった。
仕事を辞めて四六時中キキョウのそばにいてもいいかも知れない。
それも一つだろう。
アイハの人生は?

そもそも父親の意味っていったい?
考えた。

―私は仕事をしなければならない。

古臭いかも知れないけれど、どんなに辛くても父親が働いていたという記憶はアイハにとってすごく大切な事のように思った。
そして

世の中が全て金だ。

…とは言わないけれど、それがないとどんなに綺麗事を言っても不満はいずれ出てくるだろうと思った。

私は働く。

母にキキョウとアイハの母親代わりになってもらう。

今のところ(当時)これがベストだろうと判断をした。
そして―

from ラブイズ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。