第25話 《from ラブイズ》25

母親はよく言った。

「たとえ病気が良くなったとしても、あなたの知ってるキキョウちゃんじゃなくなるかも知れないよ。全くの別人になる可能性だってあるんだよ」と

私はキキョウと付き合いはじめた時の事を思い出した。

キキョウはふいに淋しそうな笑顔をする娘だった。

キキョウはいつも優しく微笑んでくれたが、大口を開けて笑う事は無かった。

いつか私は君の本当の笑顔を出させてみたい。

19歳の私は彼女にそう話をした。

…きっと今がその時なのかも知れない…

ふと、そんな事を考えるようになっていた。

物事に偶然はなく、全て必然なのかも知れない。
前へ進む事だって
後ろを振り返る事だって
立ち止まる事だって
全て必然。

そして、自分は特別な存在でありながらも
特別な存在ではなく
いてもいいけど
いなくてもいいと気付いた。

…ならば、

ならば自分の人生は自分の為に生きよう。
それは彼女の本当の笑顔が見たいが為に。
そう思った。

from ラブイズ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。