第30話 《from ラブイズ》30

アイハの事。

心の傷は一生消えない。
母親からの暴言と暴力。
三歳で母親から離された生活。

―心も体も拒絶された生活…

父親からの愛情だけでは決して満たされない想い。

渇望していたはずだ。
『母親に愛されたい!』と

この頃のアイハを思い出すだけで胸が締め付けられる。

『私が母親だったなら…!!』

何度そう思った事か…

幼少期に母親の愛情に勝る心の栄養は無い。

アイハはニ年間それを知らずに成長した。

空白のニ年間。

私は妻と運命を共にすると決める以前から
アイハはすでに『母親が精神病』という宿命を背負っていた。

その幼い小さな背中にたくさんの想いを乗せた。
淋しいとか
愛されたいとか
なんでこうなったとか
私ばかりとか
寂しいとか
淋しいとか
寂しいとか…

ただ母親と一緒にいたいという純粋な気持ち

まだキキョウの病気がわからない頃、当時三歳だったキキョウは私が仕事の時に、一生懸命キキョウのお世話をしていた事があった。

22:30に帰宅。

ただいま…と居間に入るドアを開けると部屋の中はゴミ箱をひっくり返したようだった。

「あ!ぱぱおかえり!」
辺り構わずゴミが散らかっていた。

「ああん。おかたずけしないとままにおこられちゃう…」

…多分、今日は一日一生懸命にキキョウの面倒を見てくれたのだろう。

床に散らばったオモチャ
テーブルの上の拭ききれていない飲み物の後
無造作に置いてある着替え…
朝、私が仕事に出る7:00から帰宅した22:30までの15時間半。
病気の母親を気遣い、面倒を見て、
…そして帰宅した私に笑顔をくれた。

私の両目からは涙が止まらなかった。

そして娘を抱き締めた。

「ぱぱいたいよぉ」

まともにアイハの顔が見れなかった。
ベッドの上では冬眠中のさなぎの様にキキョウがうずくまっていた。

from ラブイズ

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