第46話 《from ラブイズ》46

結局あの後、キキョウはキキョウの実家にお願いすることとした。

キキョウに普通の生活は求められないことが気付いたからだ。

説得は難航した。

向こうの義父と母がもう限界であることを話し、親戚を頼り、キキョウとも話をした。
そしてキキョウを実家に帰らせて3日が過ぎた訳だが…

調子が良い。
ふと気付いた事なんだけれども、キキョウと一緒にいる時は『理不尽な優しさ』を強要され、それが徐々に慣れて自然になっていた。

それが少し離れて冷静になってみると、会社でもそういうところが出ていたみたいだった。

「なんだかんだ言っても最後には許してくれる」的な変な甘さ。

知ってか知らずかそこにつけこんでくるようだ。人間とは狡猾な生き物だ。

そこに気付いてからは部下には責任を持たせて仕事をさせている。

もちろん最後に責任を持つのは自分だけども、何でもかんでも与えるのではなく、「自己責任」で仕事に取り組んでもらうことだ。

「なんだそんな事!当たり前じゃないか!」と思うかも知れないが、長く会社にいる社員こそ、段々新入社員の頃のような気持ちを忘れ会社に依存してくるようになる。

終身雇用制が崩壊して個人の力が試される時代と言われて久しい昨今なのに、惰性が支配し始めるとその感覚が麻痺してくる人間が多く感じる。

私もその一人だ。

歪な家庭の状態に慣れ、それが仕事にも悪影響を及ぼす。

しかし社会とはそう成り立っているのかも知れない。

個人
家族
会社
社会

その連なりの中で自分がどう生きたいのか。

それを考えるいい機会だ。

改めて身を引き締めた。
そして一ヶ月程してキキョウは帰ってきた。

これからは向こうの実家とこちらでキキョウの面倒を交互に見ていくことになった。

ただ、アイハがとても淋しそうなのが胸を締め付けた。

出来ればこちらで一緒に住んでキキョウを支えて欲しい。

それは伝え続けていこう。

from ラブイズ

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