第58話 《from ラブイズ》58

最近世の中には『新型うつ』なるものが横行していて、『病気』という免罪符欲しさに心療内科に行って鬱を決め込む人間が多いらしい。
それはさて置いて。
ここ一週間程か、妻が鬱状態な訳だ。

【鬱状態】
何事にも気分が塞ぎ込み何もやる気の出ないまたは身体の動かない状態

そして
摂食障害もあるので自分から食事を作って食べたがらない。

私といる時は少しは口にするが、
食事を取る→体重測る→少し増える→鬱になる
を繰り返している。
昨日の夕方のことだ。

あれもタベタクナイこれもイヤダ買い物行ったらオソクナルという、ようは外食したいという彼女に嫌気がさし、
「もういい。そんなワガママばかりなら私が作る」

と言ったらもうまた鬱状態となった。

仕方ないのであるもので晩御飯を作った。

途中彼女が2階に上がったので、一段落してから階段を上がると階段を上がったすぐのところに体育座りをしていたので、びっくりして「おおッ!!」と叫んでしまった。
キキョウは微動だにしない。
ああ、これは鬱に入ってるなと察したのでまずは隣で黙って座る。

そして少ししてからキキョウの背中を撫で始める。
…緊張の一瞬である。

機嫌を損ねれば否応なしの猛激が始まる。

…反応がない。
無言で背中を撫で続ける。

時折泣くキキョウ。

重い。

この時にいつも思うのが、手負いの獣に触れるイメージだ。
そして昨日は植物を愛でるイメージがあった。

植物は水が少なくても枯れてしまうし、過剰にあげ過ぎても根が腐れてしまう。

丁度いい加減で心にも水を与えなければならない。

少し強く撫で過ぎたのか、キキョウは前に倒れて壁に頭をぶつけた。
…それでも彼女は微動だにしない。

とりあえず体が動いたのがチャンスなのでベッドまで引っ張って連れて行く。

キキョウは無言だ。
目も開きっぱなしになっている。

怖い。
毛布の上だと寝づらいと思ったので足で蹴り飛ばしてからベッドに寝かせた。

ごろんと背中を向けたので少し優しく撫で続けた。

21:00を過ぎたのでアイハにも寝なさいと言った。
「ままおやすみ-」の言葉には一応うなずくキキョウ。

そのうち私も寝てしまった…

少したってキキョウは起きてタバコを吸いに居間へ行った。

上に上がってきたと思ったらアイハの部屋に行ってそのまま寝たみたいだ。

…私は贅沢かも知れない…
贅沢かも知れないが、たまには妻から「いつもお疲れ様。今日何が食べたい?」と言われたい。

そう思った。

from ラブイズ

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