第87話 《キキョウ》2

「…彼を…そのマシンに入れる?」

「イエス。
キキョウはどう思うかな?」

その日、私は博士の研究所の一室に呼ばれていた。

異国の地に暮らす私にとって、これまでにたくさん彼のことを相談し支えてくれたサイトウ博士は、もう一人の父のような存在だった。

彼の仕事のことはあまりよく知らなかったけど、なんだか脳科学の仕事だということは聞いていた。

そして、今回彼が行うことを詳しく聞いてみても、専門的なことは難しくてよくわからなかった。
ただ、夢の中に閉じ込められる可能性があるということは理解出来た。

「それは…ちょっと…
他の方法は無いんですか…?例えば…カウンセリングとか…施設に入るとか…」

「OK。
その線も当然考慮に入れていこう。
ただラブイズはそのカウンセラー達の講師もしていたからね。
なかなか素直に聞くとは正直思えないよ…

キキョウ…
ラブイズは相当追い込まれているように私からは見える。
この状態が続くと、いつ自らの命を絶つかもわからない状況だと私は思うんだ。
…とても苦しい決断だと同情する。
ただ…信じてほしい。
彼の力、人間の力を。」
「あの…とりあえず、家に帰ってもう一度よく考えてみます…」

「OK
ぜひそうしてみてくれ」

そしてその日は家に帰った。

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