第101話 《キキョウ》16

…そのうち彼が力なく崩れ落ちた。

心因反応だった。

極端にショックな出来事が原因で身体が動かなくなる反応だ。

私は泣きながらラブイズをソファまで引っ張り、そこに寝かせた。
そしてその上にぴったり張り付いて泣いた。

彼の心臓の鼓動を聞きながら静かに泣き続けた。

そしてそのうち寝てしまった…

夜中、気が付くとラブイズが私の頭を撫でてくれていた。

「…ラブイズ…」

「…目が覚めたかい…キキョウ…」

「うん…ラブイズ…ごめんなさい…」

「いいんだよキキョウ…私の方こそごめんよ…」

「私…嫌だったの…ラブイズに会えなくなることが…」

「キキョウ…私も気付いたんだ…君やアイハに会えなくなることがどんなに辛いことかって…」

「ぐず…ラブイズ…」
「キキョウ…」

彼の温かさと優しく頭を撫でられる安心感に包まれたような気がした。

「…ラブイズ…帰って来てね…」

「…わかったよ」

「…頭ゴワゴワ…」

「お風呂に入っておいで。」

「やだ…離れたくない…」

「じゃあ一緒に入ろうか。頭洗ってあげるよ」

「いいの?じゃあ入る」

「いいよ。それじゃ行こう」

そうやって彼と一緒にお風呂に入った。

ボーとしながら、彼にわしゃわしゃと頭を洗ってもらった。

あー…気持ちいい…

そしてのんびり二人でお湯に浸かる。

「ぁ゛〜…」

「本当にキキョウはお風呂に気持ち良く入るねぇ」

「え〜なんで〜」

「付き合いたての頃、気持ち良くお風呂に入る君を見て私もお風呂にハマッたんだ。」

「え〜そうだったの〜」

「お風呂は素晴らしい。副交感神経を優位にして気分をリラックスさせてくれる」

「まためんどくさい話」

「あ゛〜…」

「そして私の話聞いてない」

「…聞いているよ。たまに君は不思議なことを言うよね。アイハは間違いなく君の血をひいてると感じるよ」

「え〜何それ〜」

「ハハハ…さぁそろそろ上がろうか」

「むぅ…」

浴室から出て、短髪の彼は無造作に頭を拭くともうパジャマに着替えている。

私は少しのぼせてバスローブのままソファでぼーとしていた。

「風邪を引くから早く着替えなさい。」の彼の言葉に気だるくドライヤーをかけに行く。

そして着替えて温かいうちにという彼の言葉に従い二人で床についた。

「…ねぇラブイズ…まだ起きてる?」

「…あぁ起きてるよ」

「そっちのベッドに行っていい?」

「…あぁいいよ。おいで」

「へへ…あーあったかい…」

「…ねぇラブイズ…」

「ん…?」

「…帰って来てね…」

「…うん…わかったよ…」

「…ちぅする…」

「ん?」

「ちゅぅするの」

「ん…」

彼はそっと頭にキスしてくれた。

「たくさん」

するとラブイズは小鳥がついばむようにたくさんのキスを頭にしてくれた。

私のその心地好さと、彼の体温と、彼の匂いに幸せを感じながら、まるで胎児のように丸まって彼に抱かれていた。

…そしてその夜、私達は久しぶりに結ばれた。

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