第118話 《回想》3

ようやくマシンに入る日が決まった。

キキョウとアイハと会ったあの日から丁度一週間目のことだった。

二人に会ってから2〜3日は心の葛藤と共に不安定な精神になったが、精神安定剤の量をギリギリまで増やし、精神を保っていた。

頭ではマシンに入ることしか考えていない。
しかし心では恐怖していた。

生きる死ぬが心の中で揺さぶりをかける。
そんな時、私はさなぎになった。

さなぎのように心と身体を閉じ、精神に荒れ狂う嵐が過ぎるのをじっと待った。

鍛えた筋肉が減少することに歯噛みしたが、このような精神状態になるのはサイトウとのミーティングで想定済みだった。
…一人だ…
結局産まれるのも死ぬのも一人なんだ…
誰も私のことなんか必要ない。
誰も私なんかいくても困らない。
私がいるからこの世の中は全て悪くなるんだ。
だから私はこの世から離れよう。

私はこの世から消え去ろう。
死ぬのではなく、
そもそも存在しないのだ。

初めから私が居なければ
誰も傷付かない。
誰も悲しまない。
私は必要ない人間だ。
産まれる価値の無い人間だ。
そう思い残りの日々をただじっと過ごした。
胸の奥では
小さな焦りと、
止まらない小さな動悸と、
ツキツキをした疼痛と、
心臓の気持ち悪い苦しさが永遠に続くような錯覚をしたまま、毎日が過ぎていった。

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