第120話 《逃避》1

…そして私は帰って来た。
…様々な経験をした…
到底一言では言い尽くせないような思いもした…
…ただ『家族がいる』

それだけが有り難かった。
私は一人ではなかった。

この胸に宿るじんわり温かい気持ちは、誰かがいてくれるから感じることが出来る…
…それは分かる…
ただ…今は記憶の混同が激しい…
頭がハンマーで何度も殴られたようなどうしようもない程の頭痛と
胃から突き上げられるような吐き気に襲われている…
おそらく脳が情報処理能力を最大限に活用している為に起こる副作用だと思う…
…想定済みだ…
時折、

怒り
悲しみ
喜び
憂い
恐れ
驚き
慈しみ
情熱
冷静
妬み
苦しみ
等、様々な感情が私を取り巻いたが、以前のように取り乱すことは無かった。

どこか客観的に自分を見詰める私がそこにいた。
その後、心と身体は平静を取り戻すことがわかるからだ。

徐々に平静な時間が増えていき、

…そして私は病院を脱け出した。

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