第130話 《アイハ》4

おじいちゃんについてKAMATAに着いた時はもう夕方だった。

駅から近くのホテルに泊まるようだ。

小さなホテルの入り口に入るとおじいちゃんは慣れたようにシングルの部屋を3つ取ってくれた。

サインの様子を覗き込むと…
『葉内武士』って書いてるッ!!

おじいちゃんはやっぱりブシだった!!

「おじいチャン!『ブシ』ってナマエなの!?」
鼻息荒く興奮気味に聞くと、「たけしだ」と短く答えてくれた。

“たけし”か…

ちょっとガッカリしながらも「アタシおじいチャンに“ブシ”を感じるから“ブシおじいチャン”ってよんでイイ?」と聞くと「おぅ」と言ってくれた。

心なしか耳が赤い。

ブシおじいちゃんは耳がポイント…と。

パパはサラサラ名前と住所を書いている。

オトナって感じ。

なんか私はパパの子供で通じたみたい。

てか武士おじいちゃんが怖くてなんとなくホテルの人は気圧されていた。

途中コンビニでご飯を買っていたからブシおじいちゃんの部屋で3人で食べることになった。

コンビニは色々な食べ物があってびっくりした。
当然グラタンをゲット。
色とりどりの袋に色んなチョコがある。

当然ゲット。

飲み物を選んでいる時、パパが取ったミネラルウォーターの横にオレンジの絵が付いたミネラルウォーターを選んだ。

オレンジの香りのする水なんてオシャレですね!

そうやっておじいちゃんの部屋に入ると、狭ッ!これは狭いわー。
そーかーだから一人ずつかー。

入り口は一人が通れるくらいで、すぐ横にバストイレ。
奥にはベッドと小さなテーブルにTV、電話、ミニ冷蔵庫。以上。

私はベッドの上を陣取ると、ブシおじいちゃんはベッドの端に腰掛け、パパはイスに座った。

おじいちゃんがコンビニの袋をガサゴソ開けて、みんなに食べ物を分けてくれた。

フゥ。
まずは水でも飲むか…
「フオォォォォォッ!!」

うまいッ!!
思わず吠えてしまったぐらいうまいッ!!

ブシおじいちゃんとパパはちょっとびっくりしている。

そうだよね。夜中だもんね。ごめんなさい。
「ソーリー」

でもこれもうオレンジジュースじゃん!!

やるなぁ日本。

ふとブシおじいちゃんを見ると何も入っていないオニギリをペロリと二つ平らげていた。

…シブイ。

ほうじナンチャラと書いてる飲み物を実に旨そうに喉を鳴らしながら飲んでいる。

似合い過ぎ。

パパはもぐもぐとこれまたブシおじいちゃんと同じオニギリを食べているが途中でむせてゲフンゲフンしていた。

カッコ悪い。

さて、
このグラタンもさては…

…もぐ…

もぐもぐ…
はい、普通。
てかぬるい。

まぁこんなもんよね。

グラタンはママの勝ちー。

私がグラタンを食べ終えたところで、ブシおじいちゃんが一言言った。

「明日は札幌に帰るぞ」

SAPPORO?

ふぅん。
「OK」

軽く返事をしてコンビニ袋を漁る。

チョコだ。

これを食べなければ今日は終わらない。

袋を開けて一つ口に入れる。
「フオォォォォォッ!!」

「うるさい」

「ソーリー」

ブシおじいちゃんに怒られた。

でも…
これは…
“ガ〇ボ”か…

繊細かつ濃厚なこの味は向こうの国には出せまい…

これが『ワビサビ』なのか…

隣でパパを見ると声には出さないけど同じようにフオォォォォォな顔をしていた。

パパ大好き。

そして各々の部屋に戻り、夜はふけていく。
私は時差ぼけの為か早々に寝てしまった。

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