第131話 《アイハ》5

朝。

なんだか肌寒い。

時間は8:00を過ぎていた。

あー寝過ごしてしまった。

隣の隣の部屋のブシおじいちゃんのところにパジャマのまま会いに行くと、もう準備は万端でカップ味噌汁にお湯を注いでいるところだった。

「ブシおじいチャンオハヨー…」

「…飯食え…」

パパは寝癖全開でおにぎりを頬張っていた。

「おあようアイア」
もぐもぐ

なんだか普通。
非日常的日常なカンジ。

サンドイッチとオレンジの水があったので食べる。

感動は薄くなっていたケドこの水はンマイ。

サンドイッチは普通。

もぐもぐもぐもぐ食べているとブシおじいちゃんからジーと見られていた。

にこっと笑うとブシおじいちゃんはプイッと横を向いてしまったケド、耳が真っ赤なのは見逃さない。

フフフ。
ブシおじいちゃんは私が好きなのだ。

私もブシおじいちゃんが好きだ。

きっとブシおじいちゃんは不器用なだけなのだ。

「飯食ったら行くぞ」

「ハーイ」

「ワカリマシタ」

もしゃらもしゃらおにぎりを食べているパパはなんだか家と違いだらしないカンジだったけどイヤじゃなかった。

サンドイッチを食べてから部屋に戻り、準備をして外に出るとなんだかちょっと都会の喧騒とは違う街の音に溢れていて、あぁ違う街にいるんだなぁと思った。

パパはなんだか嬉しそうに見えた。

でも、こうして見ると痩せたなぁ。

着のみ着のままのパパはスラックスとセーターにカーディガンを羽織っているだけで、11月の風には何だか寒そうに見えた。

私は厚手のアウターを持ってきていたので中はTシャツ一枚で充分だ。

仕方ないからニットの帽子を貸してあげると、ニヤニヤ喜んでいた。

あれ?なんだかパパキャラ変わってない?

ニヤニヤがなんとなく気に食わなかったので、帽子はブシおじいちゃんに被せてあげた。

ブシおじいちゃんは顔を真っ赤にして「やめろ」と言った。

止めない。

すぐに帽子は取ってしまったので、仕方ないからまたパパに貸してあげた。

そうこうしているうちに駅につき、そこからまた電車に乗った。

またパパとブシおじいちゃんは腕を組んで目を瞑っている。

だからパパ、それマナーとは違うと思うよ。

そう思ったケド、ちょっと面白いから黙っておいた。

あーまたしばらく乗るのかなぁ。
昨日出来なかったメールでも返すか。

toキャシー
→今日本。またメールします。

to博士のおじいちゃん
→昨日連絡しなくてごめんなさい。これからSAPPOROに行くからまた落ち着いたら連絡します。

toリカルド
→今日本。昨日はごめんね。しばらく忙しいから会えないわ。

toママ
→今からブシおじいちゃん(ブシだから!)とパパとSAPPOROってとこ行くからまた落ち着いたら連絡するねー。
パパ元気そうだから安心してねー。
…ヨシと。

ピロピロピロピロ

fromキャシー
→日本!なんで日本!相変わらずアイハはアクティブ過ぎね。お土産待ってるわー!

キャー!キャシー!
うんお土産ね。わかった。

fromリカルド
→Oh…君には君の都合があるよね。だけど君のいない時間なんてハンバーグの入っていないハンバーガーのようだよ…アイハ…早く帰って来ておくれよ…

はい着拒。
訳わかんない。
メンドくさい。

fromママ
→SAPPOROに行くの!?それおじいちゃん家じゃない!なんでか聞いてッ!

SAPPOROはブシおじいちゃん家かー

「ブシおじいチャン。
ママがナンでSAPPOROいくのって」

「…東京は落ち着かん」

ええと、
toママ
→TOKYOはオチツカナイ?からだって。

ピロピロピロピロ
早ッ!

fromママ
→今電話出来る?

toママ
→今電車。出来ないと思われ。

ピロピロピロピロ
fromママ
→もういいわ…SAPPORO着いたら電話ちょうだい…

おぉ!なんか諦めてる!
てかSAPPORO遠いカンジかな?

でもまぁ、仕方ないよね。
ブシおじいちゃんしか頼れる人いないし。
あ!博士のおじいちゃんからメール来てる!

from博士のおじいちゃん
→わかった。ラブイズの様子はどうだい?
あーパパねぇ。
そういえば、病み上がりっぽい扱いだったわ。

見たカンジ普通だよね。

あ!今終点って言った?

その時ブシおじいちゃんの目がカッ!と開いた。

パパは寝てるっぽい。

「下りるぞ」
ブシおじいちゃんはそう言って立ち上がった。

シブイ!
シブイわー。
一方パパはよだれを垂らして寝ていた。

パパ起きてー
行くよー。

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