第133話 《アイハ》7

パパはブシおじいちゃんとの失われた時間を埋める為に日本へ来た。

それはママや私との時間をないがしろにした訳じゃないと私も思う。

パパも間違っていたと認めていた。

だけどパパはなんだかスッキリした顔をしている。

なるほど、パパがブシおじいちゃんのマネをしている意味にも納得がいく。

パパはブシおじいちゃんの気持ちを理解しようとしている。

いつもはメンドくさいパパの説明じみた話が、今日は何かが違った。

パパが“心”を大事にし始めたからだ。

それは今まで自分のことしか考えなかったパパとは確かに違う。

でも、なんだかまどろっこしい。

いや、ストレートなのかな?

ああん!なんだか頭が忙しい!

よし!考えるのやーめた!

…ってああ!
もう飛んでるじゃーん!
ビュオオ!
ブワッ!
キィーン…はもう終わったの!?

むむむ…

パパめ。

まぁそんな時もあるか。

席は私を真ん中に左にブシおじいちゃん。右にパパ。
相変わらず同じカッコで腕組みしている。

ブシおじいちゃん。
ブシおじいちゃんはどう思ってるのかな?
「ネェ、ブシおじいチャン」

「ん…」

「パパね、ブシおじいチャンとナカヨクなりたいミタイだよ」

「ん…」

「これからドウするの?」

「ん…帰ってから決める」

「ソウかぁ…」

…手強い。
必要最低限のことしか話さないのは武士たる所以か。

てか私も日本語のボキャブラリーが圧倒的に貧弱だ。

そうだよねー。
日本語なんて小学校以来だもんねー。

しかしパパ…
これは強敵だよ…
パパを見るとまたヨダレを垂らしている。

パパ…
ブシおじいちゃんは寝ている訳ではないのですよ…

むむむ…
心配だ…
そうか。
さっきパパが言っていた『今出来ることをする』みたいなことか。

私はパパの力になりたい。

あと、さっきパパの話を聞いたらブシおじいちゃんに興味が沸いていた。

ブシおじいちゃんが何を考えているか。
ブシおじいちゃんがどう生きてきたのか。
ブシおじいちゃんはこれからどうしたいのか。
ブシおじいちゃんだって家族じゃんか。

ママがいなくなってから、ずっと一人で生きてきたんだ。

ずっと…
一人で…

私はママがいて
パパがいて
博士のおじいちゃんがいて
病気だけどおばあちゃんもいた。
ケド、ブシおじいちゃんはずっと一人だったんだ…
うん!
私もブシおじいちゃんと一緒にいよう!
パパと、ママと、ブシおじいちゃんと、博士のおじいちゃんと、おばあちゃんと、みんなで暮らせばいいじゃん!
そうかー
パパやるなー

その為に仲良くなるのかー

なんかやっぱりさすがパパだなー

うん。
決めた。

私も日本にしばらくいよう!

パパ…
一緒にガンバろうか!

そうこう考えているうちに飛行機はあっという間に空港に着いた。

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