第134話 《アイハ》8

飛行機の降り口が開くと、ヒヤッとした冷たい空気が機内に流れ込んできた。

サム!

SAPPOROは寒いところかー。

もう一枚着とくかな。
パパを見ると寒さで目覚めたのかぱっちり目を開けている。

「行くぞ」

ブシおじいちゃんの号令で私達はもそもそと動き出した。
荷物を取って出口に出ると、さっきの空港よりも小さな感じだ。

「ここがSAPPOROかぁ…」
と呟くと、「ここは千歳だ」と言われた。

えー
まだ行くのー。

頭が寒いのでパパに貸していた帽子を剥ぎ取ると、「OH!NO!」とガッカリしていた。
仕方ないから私のパーカーをバッグから出して貸して上げた。

カーディガンの下に着込ませるとピチピチだったけどなんとかしのげそうだ。

白いパーカーを頭から被り、いかつい目で身体を縮込ませ、ポッケに手を突っ込んでウロウロしているパパはおっさんギャングのようだ。

ブシおじいちゃんは慣れた手付きでイカしたジャンパーをバッグから出して着込んでいた。

「おじいチャンそれアッタカソウだね」

「ドカジャンだ」

そう言って自分の着たばかりの自分を私に羽織らせてくれた。

ふわっとブシおじいちゃんの匂いがした。
そしてとても暖かかくて優しい匂いに感じた。

「アッタかい」

「着とけ」

「でもブシおじいチャンサムイよ」

「いいから着とけ」

そしてずんずん歩き始めるブシおじいちゃんの後ろから、私はふいに帽子を被せてあげた。

ブシおじいちゃんが
「いらん」
と頭に手をおいた時に私はその手を上から掴んだ。
そして
「イイカラキトケ」
と言った。

ブシおじいちゃんはびっくりした顔でこっちを見ていたケド、すぐに
「ありがとな」
としわくちゃでへんてこな笑顔を見せてくれた。

すぐ振り返り前を歩き出したブシおじいちゃんは、耳を真っ赤にして足早に進んでいった。

そしてふとパパに目をやると、羨ましそうな、微笑ましそうな不思議な顔でこっちを見ていた。

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