第135話 《アイハ》9

それから電車で一時間。
そしてタクシーで10分。
ようやくおじいちゃんのアパートに着いた。
「上がれ」

ブシおじいちゃんに続いて部屋にあがる。

…意外に小綺麗にしている。

玄関にはブシおじいちゃんの仕事道具なのか、色んなものがところ狭しと置かれていたケド、中はシンプルなカンジで清潔感がある。

パパはブシおじいちゃんが付けてくれたヒーターの前に釘付けになって、ガタガタと身体を震わせながら縮込ませていた。

確かにサムイ。

ケドパパ寒がり過ぎじゃないの?

「…なんか食うか?」

時間はもう12:00を過ぎていた。

あーおなか減ったかも。

でもちょっと疲れたー。

パパはブシおじいちゃんの言葉は聞こえなかったのか一番暖かいと思われるヒーター前に体育座りをし、ガッチリガードしている。

するとブシおじいちゃんは何も言わずにドタン!バタン!と外に出ていってしまった。

気マズイ…

「パパが無視するからブシおじいちゃん怒っちゃったじゃーん!」

パパ微動だにせず。

「ねぇパパ!聞いてるの!?」

と肩に手を置いたらなんだか様子がおかしい。

そしてグラッと揺れたと思ったらバタンと横に倒れた。

「えッ!?パパ!?」

あれあれあれ?
すっごい震えてるんですケド?

「ゥゥゥゥゥゥ…!」

超具合悪そう!

「寒いの!?パパ寒いの!?」

もう具合悪くて何も喋れないカンジだったので、とりあえずありったけの服をバッグから出してパパに掛けてあげた。

パパは芋虫みたいになりながら、時折唸り声をあげている。

ちょっとちょっとちょっとちょっと!
なになになになになに!!
風邪ッ!?
それともマシンとかが関係あるのッ!?

あぁ!
おじいちゃん!
博士のおじいちゃんに電話しなきゃ!!

急いでスマフォを探ったけど、パパに被せた服のどこに入ったのかわからなくなってしまった!

「あーん!おじいちゃーん!」

その時、ドタン!バタン!と音がして、ブシおじいちゃんが帰って来た!

「おじいチャン!パパが!パパが!」

「どうした!」
とパパにブシおじいちゃんは駆け寄ると、難しい顔をしてパパを見て、おでこを触った。
そしてすぐに奥に行ったかと思うとベッドパッドを敷き、その上にパパを寝かせ、山ほど布団を上に掛けた。

「寒くねぇか」

ブシおじいちゃんが話し掛けるとパパは
「ォ、ォー…ケー…」
と力なく答えた。
「おじいチャン…パパ…」

「心配すんな。ちょっと冷えただけだ」

そういってブシおじいちゃんは私の頭を撫でてくれた。

「ヒエタ…ダケ…?」

「そうだ。おまえも休め」

そう言ってブシおじいちゃんはあのオレンジのお水のペットボトルを私にくれた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク