第136話 《アイハ》10

ふぅ。
ブシおじいちゃんからもらったお水を飲んで一息ついた。

「パパ…ダイジョブカナァ…?」

「大丈夫だ」

ブシおじいちゃんにそう言われるとなんだか大丈夫な気になってくる。

不思議だ。

きっとたくさんの人生経験があるから頼りがいがあるんだと思う。

「食え」

ブシおじいちゃんはまたコンビニからグラタンを買ってきてくれた。

私が昨日食べていたやつだ。

なんだか不器用なブシおじいちゃんの思い遣りを感じた。

「ブシおじいチャンは?」

「ん…」
と後ろから何やらお酒のようなものと缶詰めを取り出した。

コップにおっきいお酒のビンをコクコクコク片手で注いでから、何やら魚の煮付けのような缶詰めをくるくると開ける。

…これは…
野武士スタイル…!?

見たことがある…
前にネットでサムライとブシを調べていた時に出ていた画像にあった…

“ノブシ”…!!

野に下った武士のことを“ノブシ”という…

そうか…
ブシおじいちゃんは“ノブシ”のランクか…

ますます野性味が溢れていますね!

ブシおじいちゃん。
・じゃがいもに似てる
・ずんぐりむっくり
・言葉少な
・パパを殴る
・言うこと効かない
・名前から“ブシ”
・照れると耳や顔が赤くなる
・笑顔はへんてこ
・不器用な優しさ
・ランクは“ノブシ”←NEW

ですな。

あーパパ見に行くか。
「…パパ…大丈夫?」

「ゥゥゥゥゥゥ」

ピト。
おでこアッツ!

これ熱すごいんじゃない?

トタトタトタ
「ブシおじいチャン!パパオデコあつイヨ!」

「大丈夫だ」

…本当カナァ?

「熱出てりゃ大丈夫だ。じき良くなる」

…うん。わかった。
ブシおじいちゃんが言うなら大丈夫だろう。

さて…
「ブシおじいチャン」

「ん」

「コレカラどうスルノ?」

「治るまで帰れねぇな」

「ソダネ」

「しばらくここにいろ」

「ヤッタ」
小さくガッツポーズ

「帰りてぇんじゃねぇのか」

「ウウン。ココニいたい」

「そうか」

「アノネ、ブシおじいチャン」

「なんだ」

「パパはココニいたいミタイだよ?」

「そうみてぇだな」

「ブシおじいチャンはいいの?」

「俺が選ぶことじゃねぇ」

「ナンデ?おじいチャンのウチデショ?」

「ここはおまえの母親の家だ」

「ママの?」

「そうだ」

「デモおじいチャンすんでるンデショ?」

「そうだ」

「じゃあブシおじいチャンのウチじゃないノ?」

「そうだ。俺は守っているだけだ」

「マモッてる?」

「そうだ」

マモる…
まもる…

ガードか!

家をガードしているって…
「ダレかセメてくるの!?
エネミー!?」

「えねみ?誰も攻めて来ねぇ」

「…マモるッテなに…?」

「家を守るってな…
誰が帰って来ても大丈夫なようにすることだ。

…もううるせぇ、おまえも休め」

「オマエってナマエジャナイ」

「…
…アイハも休め…」

そう言うとブシおじいちゃんはゴロリと後ろを向いて寝てしまった。

「ハイ!」
トタトタトタ
「パパ!ブシおじいちゃん“家を守ってる”らしいよ!」

「ゥゥゥゥゥゥ」
とパパはガタガタ震えていた。

可哀想だから一緒の布団に入って背中を丸めているパパに抱きついて温めてあげた。

そのうち私もうとうと寝てしまった。

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