第151話 《キキョウ》37

交番に連行された私は手紙を取り出して、「ごの゛人に゛会い゛に゛行グッ!!ご゛の人に゛会い゛に゛行グッ!!」と哭き叫び続けた。

宛名から児童相談所に連絡が行き、前に来た若い男性職員が私を引き取りに来た。

「…ヤスダさんはね、もう居なくなったよ」

「イ゛ヤ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーッ!!!!」
そう聞いた私は絶叫していた。

心の奥で後悔にも似た感情が頭をもたげていた。

心の奥底に閉じ込められていた感情が止めどなく溢れ、涙や鼻水や涎が洪水のように流れ落ちた。

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病院の霊安室ではヤスダタミコが静かに横たわっていた。

今まで塞き止めていた感情が一気に放出された私は既に放心状態で彼女の遺体を見つめた。

心の奥でまた何かがチリチリと胸を焦がす感じがしていた。

今の私なら分かる。

私はあの時に感情が爆発した後だった。

あの手紙で私の心が彼女の想いで響いて激しく揺さぶられたのだ。

ただ、その時の私は『もうこの人に会えないんだ』という事実を実感し、深い後悔していた。

下を向き、歯を食い縛り、爪が食い込むほど手を握り締め、大粒の涙を床に落とし続けていた。

「ヤスダさんが言ってたと思うけど、フリースクールに行ってみようと思うならいつでも連絡待っているから」
帰りの車の中で、若い男性職員は私にそう告げた。

それからしばらくは家から出ることは無かった。

頭の血管が切れたのかと思うほどの頭重と疼痛が続き、持続するめまいと吐き気に襲われていた。

心の中ではチリチリと何かがくすぶっていた。

父は相変わらず私に無関心だった。

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