第152話 《キキョウ》38

幾日かして、朝目が覚めるとスッキリと頭がクリアになったような気がした。

今まで悩まされていた頭や身体の痒みが嘘だったように軽かった。

私は外に出た。

清廉とした冷たい空気が頬をピリピリと刺す。

パリパリと音を立てるように肺に冷たい空気が張り付いていく。

目の前で朝日が照らす手稲山は青く雄大で、輝いて見えた。

今までこんな景色は見たことが無かった。

そのうち、建物の陰に隠れていた朝日が私を照らし出した。

陽の暖かな光が私の身体を包み込むと、心の中に何か暖かいものが満たされていくように感じた。

この感じにヤスダタミコを思い出した。

そしてただ素直に、私は今ここに生きている喜びを感じた。

ヤスダタミコが呪文のように繰り返していた言葉。

『この世界は愛に溢れている』

その意味がほんの少しわかったような気がした。

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それから私は毎日早起きをして朝日を浴びる生活を続けた。

そして一ヶ月程経った後だろうか。

あの男性職員からフリースクールの案内書が私宛に届いた。
また胸の奥にツキンと響くものを感じた。

私はヤスダタミコが何を伝えたかったのかが気になり、フリースクールへ足を運ぶことにした。

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